平日は仕事で帰りが遅く、週末は家族のもとへ帰省する。単身赴任では、部屋を空ける日が続くことがあります。「オートロックだから大丈夫だろう」と思っていても、自室の窓や郵便受けまで確認できているでしょうか。
防犯対策は、最初から高価な機器をそろえる必要はありません。玄関と窓の施錠、訪問者への対応、留守中の配達物を先に整え、そのうえで住まいに合う補助錠や機器を検討します。
この記事では、入居時・普段の帰宅時・帰省前に分けて、単身赴任の防犯対策をまとめました。賃貸住宅でグッズを取り付けるときの確認事項や、SwitchBotなどのスマートロックの選び方も紹介します。
まず確認したい3つのこと
- 短い外出や在宅中も、自室の玄関・窓の施錠を確認する。
- 帰省前に郵便物・新聞・宅配の予定を整理し、留守の予定を広く知らせない。
- 賃貸の追加設備は、管理会社への確認と適合チェックを先に行う。
単身赴任の防犯は、入居時と毎日の習慣をセットで考える
設備が整った建物でも、自室の鍵が開いていれば対策に穴ができます。一方、気をつけて暮らしていても、玄関灯が切れている、鍵が閉まりにくいといった問題は自分だけでは直せません。自分で続ける確認と、管理会社に相談する設備を分けると、やることが明確になります。
| タイミング | 確認すること | 気になる場合の対応 |
|---|---|---|
| 部屋を選ぶとき | 夜の帰宅経路、共用部の明るさ、玄関・窓の設備 | 内見だけで判断せず、不動産会社へ設備や管理状況を質問 |
| 入居したら | 鍵の受け渡し、施錠の動作、インターホン、管理連絡先 | 不具合を記録し、管理会社へ連絡 |
| 普段の生活 | 戸締まり、訪問者の確認、郵便受けの整理 | 玄関を出る前など、確認する順番を決める |
| 帰省・出張前 | 全ての窓、配達物、外へ見える情報 | 配達日の変更や不在時の手続きを済ませる |
住まいを探している段階なら、通勤や家賃と合わせて単身赴任の部屋・間取りの選び方も確認してください。会社が手配した部屋でも、設備の不具合は遠慮せず担当者へ伝えましょう。
玄関・窓・共用部で確認したい防犯の基本
玄関は、鍵が確実にかかるか実際に確認する
入居時には鍵の本数や受け渡し方法を確認し、鍵交換の実施状況も管理会社に尋ねます。鍵が回しにくい、扉が最後まで閉まらないといった不具合は、放置せず修理を相談してください。
施錠後は扉が閉まっていることを確認します。共用玄関のオートロックと自室の鍵は別のものです。ごみ出しなどの短い外出でも自室を施錠し、帰宅後にも鍵をかける習慣をつけましょう。
補助錠の追加は、侵入に時間をかけさせる対策の一つとして警視庁が案内しています。ただし、賃貸のドアに勝手に穴を開けるのは避け、管理会社へ相談を。合鍵は持ち歩き、郵便受けや玄関付近に隠しておかないでください。
窓は階数で安心せず、すべて確認する
ベランダの窓だけでなく、浴室やトイレの小窓も確認します。警視庁は、2階の部屋や格子のある窓についても施錠を呼びかけています。「人が入りにくそう」に見えることと、鍵をかけなくてよいことは別です。
補助錠は窓の形状に合うか、使用中も必要な開閉や避難の妨げにならないかを確認して選びます。防犯フィルムも、どのガラスにも同じように使えるわけではありません。ガラスの種類、貼付範囲、施工条件を確認し、必要なら施工業者に相談してください。
CPマークは一定の防犯性能が確認された建物部品の目印です。防犯フィルムなどを選ぶ際の判断材料になりますが、取り付け方法を無視して性能を期待したり、被害を完全に防げると考えたりしないことが大切です。
共用部は、自分で変えずに管理会社へ相談する
共用玄関の扉が閉まりきらない、廊下の照明が切れている、郵便受けが壊れている。気づいたら、場所と状況を管理会社に伝えます。住民が勝手に共用部へカメラや照明を取り付ける前に、設置可否や管理方法を確認してください。
共用玄関では周囲にも目を向け、建物内に入るときも油断しないようにします。静岡県警察も、オートロックを過信しないことや、帰宅時に周囲を確認することを案内しています。
帰宅時と訪問者への対応を、あらかじめ決めておく
夜道では、明るさと人通りを見て経路を選ぶ
駅から最短の道でも、夜は暗く、人通りが少なくなることがあります。赴任先に慣れるまでは、明るい時間に周辺を確認しておきましょう。帰宅中はスマホの操作に集中しすぎず、周囲の様子にも注意を向けます。
後をつけられているなど危険を感じたら、そのまま自室へ向かわず、人のいる店や交番など安全を確保できる場所へ移動してください。相手を問い詰めたり、一人で確認に戻ったりする必要はありません。
参考:静岡県警察「マンション・アパート等にお住まいの方の防犯対策」
点検や配達を名乗っていても、すぐにドアを開けない
訪問者には、まずインターホンや閉めたドア越しに用件を確認します。予定にない設備点検なら、その場で入室させず、管理会社の普段使っている窓口へ確認を取りましょう。
配達は注文履歴や配送予定と照らし合わせます。置き配や宅配ボックスを使うときも、荷物を長期間そのままにしない段取りが必要です。部屋番号や氏名が書かれた送り状の処分にも気を配ってください。
訪問者や電話の相手に「毎週末は家にいない」「ここには自分しか住んでいない」といった生活情報を詳しく話す必要はありません。対応の文句を長く考えるより、「確認してから対応します」と一度区切るだけでも判断する時間を作れます。
帰省・出張前の防犯チェックリスト
確認の順番を示した図です。建物の設備と管理ルールも確認し、防犯設備だけに頼らず日常の施錠を続けます。
帰省当日は、電車の時間や荷物に気を取られがちです。配達の手配は前日までに済ませ、出発前は部屋の奥から玄関へと順に見ていくと、確認の抜けを減らせます。
- 窓:浴室・トイレを含め、開けた窓を閉めて施錠したか。
- 玄関:扉を閉め、設置されている鍵をかけたか。
- 郵便受け:届いている郵便物を回収したか。
- 新聞・宅配:不在期間に届く予定を調整したか。
- 外から見える場所:荷物や送り状、予定を書いた紙が見えていないか。
- 鍵:持ち出す鍵を確認し、合鍵を屋外に置いていないか。
- 防犯機器:電池・電源・通信を確認し、通知が届く状態か。
郵便物や新聞をためない
長く留守にする場合、日本郵便には不在届により最長30日間、当該住所あての郵便物等を保管する仕組みがあります。家族の一人分や、特定の郵便物だけを選んで止めることはできません。家族・同居者が在宅する家では、この不在届で本人宛てだけを止める使い方はできないため、配達担当の郵便局に扱いを確認してください。新聞、他社の宅配便、チラシなどは別に手配します。
短い帰省なら、注文時から在宅日に受け取れるようにするだけでも、玄関前に荷物を残す事態を減らせます。定期便を利用している人は、次回配送日の確認を帰省準備に含めておきましょう。
留守の予定を公開せず、家族には必要な情報を共有する
SNSで不特定多数に帰省日程や自宅を特定できる情報を伝えないようにします。旅先の写真を載せる場合も、投稿時期や位置情報、背景に写るものを確認してください。
一方、家族とは帰省予定や連絡方法を共有しておくと、予定が変わったときに確認しやすくなります。連絡が取れない場合に誰へ連絡するかも話しておきましょう。普段の連絡の取り方は、単身赴任中の家族との連絡と暮らしの工夫でも紹介しています。
帰省前のごみや洗い物の整理もまとめて済ませたい方は、単身赴任の掃除をラクにする方法を参考にしてください。
賃貸の防犯グッズは「目的」と「取り付け条件」で選ぶ
気になる物を順に買うより、「窓の施錠を補いたい」「訪問者を室内から確認したい」など、目的を一つずつ決めます。次の表は役割の違いを整理したもので、特定の製品の性能を保証するものではありません。
| 候補 | 主な目的 | 購入・設置前の確認 |
|---|---|---|
| 窓・ドアの補助錠 | 施錠箇所を追加する | 形状、取り付けの許可、傷や避難への影響 |
| 防犯フィルム | 窓への侵入対策を補う | 防犯性能、ガラスとの適合、施工条件 |
| センサー・アラーム | 開閉や振動などに気づく手段を増やす | 反応条件、音量、電池交換、誤作動時の扱い |
| カメラ・録画機器 | 映像の確認や記録 | 撮影範囲、管理規約、保存方法、通信と電源 |
| スマートロック | 施解錠の操作や確認を補助する | 錠との適合、追加機器、電池切れ・締め出し時の備え |
「工事不要」「貼るだけ」と書かれていても、賃貸で無条件に使えるとは限りません。塗装や壁紙への影響、原状回復の扱いも確認します。カメラを使う場合は、隣室や共用通路などの撮影を自己判断で広げず、管理会社と相談してください。
SwitchBotなどのスマートロックは、対応する鍵か先に確認
スマートロックは、鍵の操作や施錠確認の手間を減らしたい人の候補です。例えばSwitchBotの公式案内では、購入前にサムターンやスマホへの対応を確認するよう求めています。サムターンとは、室内側で鍵を開け閉めするつまみのことです。
似た形でも取り付け条件が違うことがあります。使いたい型番の案内を確認し、寸法を測って判断してください。外出先からの確認や通知に別売機器が必要か、どの機能が通信に依存するかも製品ごとに確認します。
スマートロックを付けただけで、ドアや窓そのものの耐侵入性能が高くなるとは限りません。電池切れやスマホの故障も考え、従来の鍵を携帯するなど、公式案内に沿って締め出しに備えましょう。自動施錠を使う前には、在宅中に設定と動作を確かめます。
まずは、取り付けられる鍵かどうかを確認
異変や被害の疑いがあるときの対応
帰宅してドアや窓が壊れている、室内に誰かいる気配がする。そんなときは中へ入って確かめず、安全な場所へ離れてください。相手と対峙せず、状況を警察へ伝えることを優先します。
事件・事故の緊急通報は110番、緊急ではない生活の安全に関する相談は#9110が案内されています。差し迫った危険があるときに、相談番号で済ませようとしないでください。設備の破損は、安全を確保したうえで管理会社にも連絡します。
単身赴任の防犯でよくある疑問
オートロック付きなら、追加の対策はいらない?
自室の玄関や窓の施錠は必要です。共用部の設備を過信せず、訪問者の確認や帰宅時の注意と組み合わせます。追加グッズは、現在の設備と困っている点を整理してから選びましょう。
短い帰省でも不在届は必要?
毎回必要と決まっているわけではありません。日数と配達予定、郵便受けの容量から考えます。まずは届いている物を回収し、不在中の宅配を調整することから始めてください。
防犯カメラがあれば安心して留守にできる?
カメラは記録や状況確認の手段になりますが、侵入を必ず防ぐものではありません。電源や通信が切れる可能性、通知にすぐ気づけない場合もあります。戸締まりや配達物の管理と組み合わせて使います。
まずは戸締まりの順番と、帰省前の確認を決める
最初に整えたいのは、毎日続けられる確認です。部屋の奥の窓から玄関まで順に確認し、帰省前は配達予定も見る。手順が決まると、急いでいる日にも思い出しやすくなります。
そのうえで設備の不足が分かったら、管理会社に相談し、目的に合うグッズを選びましょう。防犯を商品選びだけで終わらせず、住まいの管理と日々の行動に組み込むことが大切です。

